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PAT(PART AVERAGE TESTING)では不十分だったアウトライア検出

前回、「不良率0.1DPPMへの鍵! Streetwise™」でアウトライアがデバイスの品質に大きく係わっており、車載デバイスでは非常に注目を集めているというお話をしましたが、AEC(Automotive Electronics Council)という評議会から、1997年にPAT(PART AVERAGE TESTING)と呼ばれる、アウトライアを取除くためのガイドラインが発行されています。これは6シグマを用いてアウトライアを除去する手法なのですが、その方法にも問題があり正確にアウトライアを検出することができていませんでした。 今日はStreetwise™の説明をする前にこのPATがどんなことをしていたのか?についてご紹介したいと思います。

2008年5月

 

PART AVERAGE TESTING
PAT(PART AVERAGE TESTING)

AEC (Automotive Electronics Council):車載電子部品評議会は、元は米国のクライスラー、Ford、GMの3社が車載の電子部品における共通の品質基準や品質システムを確立する目的で設立されました。現在は車載デバイスに係わる様々な会社の代表から構成されているようです。
そのAECから1997年にPAT(PART AVERAGE TESTING)と呼ばれる、車載用アナログデバイスに向けた統計的テスト手法のガイドライン(AEC-Q001-RevC)が発表されました。

   


AEC-Q001とは、製品のスペックを満たすテストの規格であるテストリミット(右図赤ライン)を設定するという従来の単純な手法ではなく、デバイスの品質・信頼性を向上させるため、製品スペックを満たしても他と特性が異なるチップ(右図黄丸)は取り除く、“つまりアウトライアを取除くテスト”手法です。

パラメトリックアウトライア
   
ジオグラフィックアウトライア




PAT(PART AVERAGE TESTING)と呼ばれるその方法は、6ロット分のウエハテストデータを用意し、その平均から6シグマの範囲でテストリミットとは異なる新たなリミット、PATリミット(左図赤線)を定め、そのPATリミットから外れたデバイスをアウトライアとして処理し除去する仕組みでした。

   
 


しかし、このPATも完全ではありませんでした。6ロット分のテストデータの中にある、各ウエハのデータ分布は一定ではなくばらつきがあるため、6ロット分の6シグマのリミットでは、もしかしたら良いデバイスも不良として判定していたり、逆にPATリミット内に収まっているアウトライアに関しては発見することができませんでした。
つまり、 6ロット分の平均という6シグマのPATリミットでは良否判定が曖昧になってしまっていました。

そこで6ロット分ではなく、各ウエハ毎に6シグマの計算からPATリミットを適用する方法が行われるようになりました。

しかし、ウエハのテストデータにはばらつきがあり、テストリミットに近い位置にある分布や、そもそも正規分布ではない分布形状を持つテストでは、正確にアウトライアを検出することができずに、結局は良いデバイス、悪いデバイスの区別が明確にできていませんでした。
コンポジットアウトライア
   
LSI Logicとポートランド州立大学ホワイトペーパー


各ウエハの各テスト毎にPATリミットを設定するというのは良いとして、左の図にあるような様々な分布形状のテスト結果 に対して、的確にアウトライアを見つける必要があります。

そこで開発されたのが Streetwise™です。従来のPATでは不十分だった解析手法に様々な改良を加え、より洗練された解析手法になっています。

今日のところはここまでにして、次回ではPATの手法にさらに改良が加えられたStreetwise™のパラメトリック解析についてをもう少し詳しく説明いたします。

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