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本格的6電極ナノプロービングシステム dProber


今回は前回ご紹介した着脱可能 4電極ナノプロービングシステムsProberに変わって、 既存のSEM(走査型電子顕微鏡)やFIB(Focus Ion Beam)のドアを改造して取り付けるタイプの、よりスループットを高めたシステムであるdProberについてご紹介したいと思います。

2008年6月

 

dProberアセンブリイメージ

米Zyvex社製のナノプロービングシステム dProberは半導体デバイス上で100nm以下のデバイスをダイ上で直接プローブできるよう設計、最適化されているプロービングシステムです。
sProberと比較すると、まずポジショナの数が6本あり、センターステージもX,Y,Z方向に動くため、使いやすく、スループ ットの向上が期待できるシステムです。
sProberは時々SEMとして使ったり、ナノプローブシステムとして使ったりと、たまにしかナノプローブシステムを必要としないお客様に最適ですが、このdProberの場合は、「とにかくデバイスの解析依頼が多い。SEM単体で使う暇はないので、常にナノプロービングシステムとして利用したい。さらに既にSEMは持っているのでコストを抑えるために既存のSEMを利用してナノプロービングシステムが欲しい。」というお客様にうってつけの商品です。
もちろん新規で購入されるSEMやFIBに取り付けることも可能です。

   

システムは最新の6ポジショナー、Zyvexナノマニュピレータ、XYZサンプルステージ、半導体パラメータアナライザ、アンチ コンタミネーション システム、サンプル交換用ロードロック、そして各コンポーネントを総合的にコントロールするカスタム・ソフトウエアから構成されています。
さらに電気特性評価システムはローノイズ測定用に特別設計されており、200fAの精度の測定を可能とします。



dProberシステム構成要素
   

ポジショナとセンターステージ

6つのポジショナはsProberと同様に、それぞれがX,Y,Z方向に12mmの動作範囲で動く粗動作モードと精密なプロービングのためのファインモードがあり、粗動作モードでは100nmの分解能レベルで稼動し、ファインモードは5nmの分解能を誇ります。つまり粗動作モードで目的の位置までサクッと移動して、近くにきたらファインモードで正確にコンタクトすることが可能。さらに、今回のdProberはセンターステージがX,Y,Z方向に動くため、一度ポジショナを目的のサンプルにコンタクトすれば、センターステージはプローブと独立して動くため、センターステージを動かして別の場所のサンプルを直ぐに測定することが可能です。これはdProberがsProberよりもスループットが高い一つの利点となっています。 これらの操作は専用ソフトウェアと高精度なジョイスティックにより操作されるので、まさにゲーム感覚で簡単にプロービ ングができるシステムです。

   

dProberはSEM/FIBのドアを改造して取り付けますが、改造の際にサンプル交換用のロードロックも組み込まれるため、チャンバ内の真空環境を壊すことなくスムーズにサンプル交換が可能です。
電気特性評価システムはKEITHLEY社製4200パラメータアナライザを使用、またSEMやFIB内部を細部まで洗浄するアンチコンタミネーションシステム(汚染防止システム)も搭載しており、サンプルへのコンタミの固着を防ぎます。
これら全ての構成要素を専用ソフトウェアがシームレスに総括しコントロールします。
また、温度特性評価パッケージのオプションにももちろん対応しています。

dProberロードロックイメージ
   
6本のプローブでのコンタクト

dProberはポジショナが6つあることによって、ケルビンプロービングやバタフライカーブ等、4本のプローブではできなか った、アプリケーションも可能になります。従来の4ポイントプロービングを行った場合も、余った2本のプローブは予備と して使用できるため、もしも操作を誤ってプローブを曲げてしまった場合にも、予備のプローブを使用することによって、 チャンバ内の真空環境を壊すことなく測定を続けることが可能です。実はこれも密かにスループットを高めている要因にもなっているのです。
SEMやFIBを既に導入している半導体/故障解析研究所にとってdProberは、手頃な予算で入手できるうえに高いスループットを維持できる本格的なナノプロービングシステムなのです。

   
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