12inマルチサイトプローブカードの紹介と今後の課題

半導体デバイスの高密度化、ナノプロセスよる更なる微細化、そして使用環境への適応など進化を続けている。それに伴い信頼性評価試験への要求もハードルが高くなってきた。測定器は高周波・微小電流・高電圧/電流・チャンネル数と、進化中の半導体デバイスの背中を見ながら何とか進化を遂げているが、半導体デバイスに直接コンタクトするプローブカードはどうかと考えると疑問が残る。特に温度帯域が広くなったこと、マルチサイトプロービング範囲は最大300mmと広くなったことが最大の問題である。今回は、信頼性試験での特に温度にスポットを当てプローブカードとは、どうあるべきかを考えて行きたい。

2008年7月

 

信頼性試験を担当するエンジニアと打合せする中で、プローブカードの仕様をまとめていくと、特に温度に対しての対応が強く求められるようになった。今までは常温〜+125℃、−20℃〜常温という温度帯域で、シングルサイト、又は2,4マルチサイトであり問題なく要求に応えることが出来た。しかし今日の要求はと言うと、8インチ、12インチウェハー一括マルチサイトプロービングで、温度帯域は−60℃〜+350℃、しかもプロービング(測定)しながら温度を変えて行きたいという要求だ。更にボンディングパットのサイズは80μm×80μmという場合もある。
残念ながら、今現在この要求全てに応えられるプローカード又はメーカーは無い。では、どうしているかと言うと一つもしくは二つの条件を満たすプローブカードで解決しているのが現状だ。例えば高温仕様、低温仕様を各1枚づつ用意するとか、プロービングしながら温度を変えて測定する時は、ボンディングサイズを500μm×500μm以上のウェハーを作って対応するとかだ。プローブカードに関わる信頼性試験のコスト、時間が掛かる一方だ。

 

125℃以上の高温下でのプロービングは、熱膨張の影響によるコンタクト不良、破損が最大の問題だ。これを解決するために各プローブカードメーカー、プローバーメーカーは開発を進めている。紹介するプローブカードは全て当社が取扱っているもので、ユーザーからの声の多い問題だからだ。

 

実例としてあげている2枚の写真のプローブカードだが、例1はセラミック基板にpogopinを使ったプローブカードである。このプローブカードの特徴は、温度による熱の影響をpogopinを使うことによりウェハーチャックの縦の膨張に対応した仕様となってる。温度範囲は0℃〜200℃、Pogopinの位置精度は±25μmでZ方向の最大ストロークは15000μmとなっており、かなりラフに使用しても破損することは少ない。しかし目視でアライメントできないので、プローバーにオートアライメント機構が搭載されて無いと使用するのは難しい。例2と比べると短納期・安価である。
例2はウェハーの膨張係数に近いインバー鋼とセラミックを併用した基板にクランク状に曲げたカンチレバー型のプローブカードである。このプローブカードの特徴は、温度で−65℃〜400℃の広範囲をカバーしている。又常温時での針位置精度は±5μmである。アライメントは目視でも行うことが可能なので、マニュアルプローバーでも使用することが出来る。しかし高価で納期も掛かる。
他には、セラミック基板にセラミックブレードを取付けた12インチ対応のプローブカードがある。このプローブカードは、Zストロークが最大200μmと小さく破損しやすい。価格、納期は例1と例2の中間くらいである。

 

信頼性試験での12インチ対応のマルチサイトプローブカードを3種類ほど挙げてみたが、どのタイプも一長一短があり、例2で挙げたタイプが今日要求されている仕様に近いものと判断する。しかしボンディングパットのサイズを大きくせずに、プロービングしながら温度を変化させて測定したいという要求については満たすものはまだ無い。やはり熱膨張による影響がかなり大きい。
ウェハーチャックの熱によりプロービングに悪影響が出るものを挙げてみる。
・ウェハーの膨張(横方向延びる、縦方向は無視できる)=解決できない
・プローブカード基板の膨張(縦横方向に伸びる)=ウェハーの膨張係数と同係数の材料を選択(軽減できる)
・ウェハーチャックの膨張(縦方向に伸びる)=プローバーでZコントロール解決の可能性(軽減できる)
・プローブカードホルダー(縦横方向に伸びる)=膨張係数の小さいインバー鋼で解決の可能性(軽減できる)

これら考えられる問題点を一つ一つ解決していかなければならない。
我々はプローブカードメーカー、プローバーメーカーそしてデバイスメーカーとも協力して満足のいく測定が出来るよう解決に向けこれからも開発を進めて行く。


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