今までご紹介してきたナノプロービングシステムは既存のSEM（走査型電子顕微鏡）に取り付けるタイプのものでしたが、今回はSEMと一体化された、業界最多8つのポジショナを持つnProberについてご紹介いたします。

米Zyvex社製のナノプロービングシステム nProberは半導体デバイス上で100nm以下のデバイスをダイ上で直接プローブできるよう設計、最適化されているプロービングシステムです。
まず、このnProberはSEMと一体化したシステムで業界最多の8つのポジショナを装備しております。
センターステージもX,Y,Z方向に動くだけでなく、CADナビゲーションシステムを搭載しているため、ポイント＆クリック操作で目的の場所へ素早く移動させることができるため、飛躍的にスループットを高めることが可能なシステムです。
このnProberは「とにかくスループットを速くしたい。」「8本でしかできない新しいアプリケーションを行いたい。」というお客様に非常に適した装置です。

システム構成は以下の通りです。

●FEI QuantaTM 200FEG SEM
●最新の8ポジショナ
●Zyvexナノマニュピレータ
●XYZサンプルステージ
●パラメータアナライザ　
●アンチコンタミネーションシステム
●サンプル交換用ロードロック
●CADナビゲーションシステム
●各コンポーネントをコントロール、統一するカスタム・ソフトウエア

さらにdProberと同じく電気特性評価システムはローノイズ測定用に特別設計されており、200fAの制度での測定が可能です。

8台あるポジショナはそれぞれがx,y,z 方向に12mmの動作範囲を持つ粗動作モードと、精密なナノプロービングの為のファインモードが設定されています。粗動作モードは1ミクロンの分解能レベルで、ファインモードは5nmの分解能を誇ります。セミオート化された動作範囲12mmの粗動モードと高分解能のファインモードを組み合わせることによって、それぞれのポジショナは一辺12mmの立方体の何処にでも簡単に5nmの精度でプローブを移動することが可能です。
。この半自動制御の8本の接触型プローブを同時に用いることで、SRAMビットセルを個々のトランジスタに分割して評価するのではなく、ビットセルの実行特性をセル全体として評価することも可能となります。これにより、セルの安定性はもとより書き込み状態も確認出来るようになりました。まさにプローブを8本取り付けることができるnProberならではのアプリケーションといえるでしょう。

nProberのセンターステージはプローバユニットの中心に位置し、動作範囲はx軸とy軸は共に28mm、上下運動となるｚ軸は13mmとなっております。センターステージはCADナビゲーション・システムと連動されており、マウスの簡単なクリック操作でCADナビが示す位置に正確に移行させることが出来ます。このセンター・ステージとCADナビを併用することにより、同一パターンのデバイスであればプローブをx,y軸方向に殆ど動かすことなく反復的に次のデバイスを測定することが可能なっております。 つまり、測定したい場所をクリックすると、そのコンタクト位置周辺まで自動的に移動します。これにより大幅なスループットの向上を可能にしました。

使いやすいウインドウズベースのソフトウエアプラットフォームは、nProberの全ての構成要素をシームレスにまとめています。FEI Quanta200が最適な解像度やビデオレート、ビームシフトやバキュームテクノロジー、ICナノプロービングに必要なユーザーコントロールなどを提供します。アンチコンタミネーションシステムも標準装備されており、チャンバ内のコンタミを除去し、クリーンな環境での測定を可能にします。
また、もちろん温度特性評価パッケージのオプションにも対応しています。